4月
今年の桜は遅咲きで
まだ薄紅色の花びらが
木々の間から見え隠れしている…


今日は、高校の入学式


私より伯母さんの方が
張り切って、舞い上がってたりする。


「ほら!美羅ちゃん
もっと笑って!」


玄関の前で
制服姿の私の写真を撮りまくり
伯父さんと2人して大満足の様子


「聖斗、あなたも一緒に並びなさい
写真撮ってあげるから」

「俺はいいよ」

「何言ってんの!
記念よ、記念。
入りなさい」

「ちぇっ…」


聖斗が不機嫌な顔をして
私の横に立つ


聖斗は、私のこと
まだ許してくれてない。


態度を見てれば分かる。
口を利いてくれないどころか
私の顔も見てくれない…


「なぁ、お袋!
今日、俺行かなきゃダメか?」

「当たり前でしょ
今更バカなこと言わないでよ。
私が行けないんだから
あなたが行くのが当然じゃない」


2人がモメてるのは
私の入学式のこと


伯母さんと伯父さんは
親戚の結婚式に出席するので
入学式には来れなくて
変わりに聖斗が保護者として出席することになってた。


「伯母さん、別に、私1人で大丈夫だから…」


こんなに嫌がってる聖斗に
来てもらうのは
気が引けた。


「ダメよ。
色んな書類の提出もあるし
先生のお話しもあるんだから
それに、誰も来てないなんて
美羅ちゃんに
そんな肩身の狭い思いさせられないわよ」


オーバーだよ。伯母さん…


「じゃあ、私たち行くから
聖斗、美羅ちゃんのこと
お願いね。

美羅ちゃん、本当にごめんね。
伯母さん入学式行きたかったわ…」


伯母さんは早口で
そう言うと
名残惜しそうに、伯父さんと車に乗り込み
嵐の様に去っていった…


取り残された
私と聖斗


めっちゃ気まずい