ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】


「味噌汁…
美羅の味噌汁が飲みたい」

「えっ?…そんなのでいいの?」


瑠菜ちゃんにミルクを飲ませながら
コクリと頷く聖斗。


「分かった…」


良かった…
お味噌汁なら大丈夫だ。
聖斗が好きなのは
大根と豆腐のお味噌汁


「実家に居た頃は
毎日、美羅の味噌汁飲んでたもんな」

「そうだね…」


こんなのが夢だった…


カウンターキッチンから
微笑ましい父子の姿を見ながら
私が食事の支度をする…


平凡で、どこにでも有る風景

一番欲しかった幸せが
今、ここにある。


「どうぞ食べて。
なんにも無くてごめんね。
これ、昨夜の残りの筑前煮だけど
食べる?」

「あぁ」


お味噌汁を一口飲むと
聖斗が、ハァーっと息を吐き
「うめぇー」と、微笑む。

「良かった」

「やっぱ、美羅の味噌汁は最高だな!」


ご飯を3杯もおかわりして
全て完食してくれた。


熱いお茶を入れ
聖斗の向かいに座ると
「兄貴はいいよな…
毎日、美羅の料理が食えるんだから…」
と、ポツリと呟く。


「こんな料理で
そんなに褒めないでよ…」


照れ隠しでそう言った私の顔を
聖斗がマジマジと見つめると
突然、深々と頭を下げる。


「えっ?どうしたの?」

「酷いこと言って、悪かった…」

「聖斗?」

「京子さんに、俺たちが兄妹じゃねぇって聞いた時
美羅に酷いこと言ったよな…
もうお前のことは忘れるって…」

「…うん」

「そんなこと…出来るワケねぇのに…
美羅のこと…
忘れられるワケねぇのに…」

「……」

「兄貴は、優しくしてくれてるか?」

「うん…」

「そうか…」


会話が途切れ
居た堪れなくなった私が
「瑠菜ちゃん見て来る」と、席を立つと…


「美羅、行くな!」


聖斗の手が
私の腕を掴んだ。