それからすぐ、聖斗はマンションに引っ越し
理絵さんと瑠菜ちゃん、3人で暮らし始めた。


なんだか、家の中がとても広く感じる。
どんなに待っても
聖斗が、ここに帰って来ることはない…


でも、そんな寂しさに浸ってばかりは居られなかった。


結婚の準備で
毎日忙しく
あっという間に月日は流れ
気がつけば
肌寒さを感じる11月


結婚の日取りは、私が決めた。


12月24日

私にとって、その日は悲しみの日
パパとママの命日


毎年、クリスマスが来るたび
街に流れる
クリスマスソングを聴くたび
思い出す
冷たくなったママ手の感触


この日を悲しみの日から
喜びの日に変えたい…


だから式を挙げる場所も
ママたちを送った教会にしたんだ…


あれから何度も
智可と雅史さんから電話があり
聖斗に、あの事実を話したかと聞かれた。


話す機会が無かった訳じゃない
でも…言えなかった…


私は逃げてたのかもしれない。
怖かったんだ…




そんな時
突然、京子さんがやって来た。


「もぅ、京子さん。
来るなら前の日に連絡して下さいよ」


伯母さんは呆れながらも
苛立ちを隠せない。


「いいじゃない。
今朝、来たくなったんだもの
急に私が来たら
なんか問題あるわけ?」


京子さんも負けてない。


「別に…そんなこと…」


プリプリと怒りながら
キッチンに行ってしまった伯母さんを
面白そうに眺めてた京子さんが
急に真面目な顔になる。


「美羅、ちょっと、話しがある」

「え、うん…」

「ここじゃ、話せないことだよ」

「京子さん…」

「場所を変えよう」


立ち上がった京子さんの後に続き
歩き出したが
彼女が何を言いたいのかが分かるだけに
足取りは重かった。