「そう、これは私の勝手な考えだけど
理絵さんは、初めっから
聖斗くんを諦める気なんて無かったんだよ。
両方の親を巻き込んで
聖斗君が逃げられない様に仕向けたんだって!」
「えっ…」
「絶対、そう!
そうに決まってる」
いつも冷静な智可が
ここまで怒りを露わにするなんて
よっぽどのこと
智可の言うことが事実なら
周りから責められ
責任感の強い聖斗が
追い込まれていったのも
容易に想像できる。
「でもね、聖斗君は
それでも結婚はしないって頑張ったんだよ…
美羅の為に…
私は、そう思う」
私の為に…?
もし、そうなら
私は…聖斗を信じれなかった私は…
愚かとしか、言いようがない…
「でも…」と、続いた智可の話し。
それは、私と聖斗がすれ違う
決定的なできごとの幕開け。
製薬会社を辞め
家に戻って来た優斗が薬局で働きだし
暫くした頃
私を見かけたと聞いた優斗が
『シャルム』にやって来た。
優斗は誰にも言わないと言ってたが
聖斗には
私と会ったことを話したそうだ。
私が帰りたくないと言って
泣きじゃくったこと
そして、その理由が
同棲してた男性と別れたくないからだと…
聖斗はあの電話で私が言ったことは
本当だったんだと認めるしかなかった。
・
・
「あの日は、聖斗の奴
酷く荒れてたよ…」
「……!!」
「お兄ちゃん…」
智可との話に夢中になってたせいで
ドアの前に立ってた雅史さんに
まったく気付かなかった。
神妙な顔をした雅史さんが
私たちの横に座り
その日の聖斗の様子を話し出す。
「ここに来た時は
もう既に、かなり酔ってたよ。
美羅ちゃんに好きな男が出来て
一緒に暮らしてる。
その男と離れたくないと言って
泣いて抵抗した…
美羅ちゃんを探し続けていた聖斗にとって
耐えがたい事実だったんだろうな…」


