智可のことは、私も気になってた。
あの時は私も混乱してて
酷いこと言った様な気がする。
私と雅史さんとの板挟みになって
智可も辛かったはずだ…
「うん」
そう言って、私がコクリと頷くと
雅史さんはホントに嬉しそうに
白い歯を見せ笑い
病院の裏口へと
私を急かす。
外に出ると白衣のポケットから携帯を取り出し
恐らく智可であろう
電話の向こうの相手に
玄関の鍵を開けておく様に告げ
私の方を向き
パタンと携帯を閉じた。
「ウチに来るの、久しぶりだろ?」
「そうだね、高校の時以来かな…」
病院と同じ敷地内にある
木造の立派な建物
高校時代、度々訪れていた
懐かしい家。
格子戸をくぐり
玄関の引き戸を滑らすと
そこには、不安な顔をした
智可が立ってた。
「美羅…」
彫の深い、綺麗な智可の顔が
見る見る内にクシャクシャになり
大粒の涙が頬を伝う
「智可、元気だった?」
「うんうん」と頷くながら
裸足のまま、玄関の入口に居た私に駆け寄ると
会いたかったと
声を震わす。
「…ごめんね。美羅」
「私こそ…ごめん」
感動の再会って感じかな…
そんな私たちを見て、雅史さんは
私のことは聖斗に上手く言っとくから
今日は泊っていきなさいと
病院に戻って行く。
智可の部屋に一組の布団を運び
私たちは寝ころぶと
高校生だった頃みたいに話し出す。
でも、その内容は
学生時代の甘酸っぱい恋の話しとは
全く違う…
「あの日…美羅から電話があった前の日
聖斗君と理絵さんをお兄ちゃんが呼びだして
これからのこと聞いたって、アレ
覚えてる?」
「うん」
「あの時ね、聖斗君は子供の面倒は見るけど
結婚は出来ないって言ったんだよ…
絶対に結婚はしないって…
自分の命に代えても守りたい
大事な女が居るからって…」


