ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】


黒木さんの思いを無駄にしたくなかった。
彼の望み通りにしてあげたかった。


「お守りなんて…
そんな大そうな物じゃないよ。
ただ、僕の願いを言わせてもらえるなら
これは、君の幸せの為に使って欲しい。

みわちゃんが幸せになる為の手助けになってくれたら
本望だ…」

「うん。分かった」


みわちゃんって、呼んでくれたね。
黒木さんの前では
私は"みわちゃん"で居たい。


なんのシガラミもない。
ただの同居人
それでいい…


やっと笑えた。
黒木さんと見つめ合い
笑うことが出来た。


「ねぇ、黒木さん。
いつから私が"江川美羅"だって気づいてたの?」

「…そうだな…
違和感を持ったのは
両親が事故で亡くなって
伯母さんの家に預けられたってとこからかもしれないね。

君の両親が事故に遭ったのが
6歳、小学1年の時だって言っただろ
その時、一瞬ドキッってした。

でも、まさかそんなことは…って

そして
『シャルム』の常連さんに
君を迎えに来た人が
みわちゃんを、美羅って呼んでたって聞いた時
確信したんだ」

「そう…」


全てに納得した私は
深く細い息を吐く。


すると、その時
玄関のチャイムが鳴った。
黒木さんは時計を確認すると
「時間通りだ…」と言って立ち上がる。


「誰?」

「んっ?いいから、待ってて」


玄関で短い会話が交わされ
黒木さんと共に
部屋に入って来たのは


優斗だった…


「えっ…どうして、優斗が…」


すると、黒木さんが微笑みながら言う。


「僕が電話して
君を迎えに来て欲しいって
頼んだんだよ」

「そんな…」