私と黒木さんが、13年前に会ってるなんて
そんなこと
ありえるんだろうか…
偶然入った小料理屋の板前さんの彼と
私の接点って、一体なんなの?
「私と黒木さんの間に、何があるの?
話して…黒木さん」
彼は再び姿勢を正すと
私の目を真っ直ぐに見つめ
話しだした。
「あれは、僕が20歳の時
就職した運送会社で、宅配の仕事をしてた時だった…」
…年末が近づき
仕事は最高に忙しい時期
早朝から深夜まで働きづめで
休日出勤が続き
疲れは、ピークに達していたそうだ。
やっと、仕事が終わって
会社に戻り、少し仮眠を取ろうとした時
不在伝票を入れて来たお客さんから電話があり
今すぐ持ってきてほしいと言われ
仕方なく
トラックで、そのお客さんの家に急いだ。
「若かったからね…
少しくらい寝てなくても大丈夫だって
過信があったんだと思う。
途中、何度も睡魔に襲われたけど
我慢して運転を続けてた。
でも…」
「でも…?」
「…気付いた時には
フロントガラスに、眩しい光が迫ってきてて…
ブレーキを掛け、ハンドルを切ったけど…
間に合わなかった…」
「それって…事故?」
黒木さんは、小さく頷いた。
「反対車線にはみ出した僕のトラックは
前から来た乗用車と
正面衝突したんだ…
その車には、2人の人が乗っていて…
旅行帰りの夫婦だった…」
私の頭の中で
最悪のシナリオが綴られていく…
まさか…
そんなこと…
自分の想像がハズレてることを祈りながら
私は震える唇から
声を絞り出す。
「その日って、もしかして…」
お願い。
神様…
「そうだよ…
その日は、クリスマス・イヴ
君の大切な両親を奪ったのは…
僕だ…
僕なんだよ」


