それから京子さんは3日ほどして
名古屋に帰って行った。
まるで嵐が去ったみたいに
すっかり静かになった家。
そして、私の足のギプスも取れ
なんとか普通に歩ける様になってきた2月14日
バレンタイン
4年ぶりに聖斗にチョコを渡す。
チョコをほうばったまま交わす口づけは
トロける様に甘くて
ちょっぴりビターの苦味が喉元を刺激した。
でも、どんなに甘いチョコも
聖斗のキスには勝てない。
はだけた胸に押し付けられる柔らかい唇が
高揚し、桜色に色ずく私の肌を
更に朱色に染める…
「ホワイトデーは、何がいい?
美羅の一番欲しいモノは?」
「んんっ…私の…一番、欲しいモノ?」
「当ててやろうか?」
「うん…」
・
・
・
「…これ…だろ?」
「あぁっ…ん」
私の一番欲しいモノ…
そう…それは、もちろん聖斗…
それ以外に望むモノなんて
何も無い…
世間が言う
人並みの幸せなんて、いらない。
そんなものは
今の私にとって、無に等しい…
聖斗の愛があれば
生きていける…
・・・
…私は自分に呪文をかけるみたいに
そう言い聞かせていた。
私を不安にさせていた理由…それは…
聖斗の彼女
理絵という人の存在。
理絵さんと別れるって、言ってくれたけど
あれから聖斗は理絵さんのことには
口にしない。
別れたのか…
そうじゃないのか…
知りたいけど
怖くて聞けない…
どんなに強く抱きしめられても
『美羅だけだ…』と、囁かれても
彼女が居る限り
私だけの聖斗とは言えない…
愛情は無かったと聖斗は言ったけど
4年も付き合ってきたんだもんね。
そう簡単に切れるワケないよね…
聖斗に触れられた胸が
ズキンと痛んだ…


