俺にもたれかかるように倒れてきたもんだから、一瞬俺は自分に気があるのかと勘違いしたのだが
(このときの俺は、もてることに全然慣れていなかったのだ。あぁ、懐かしい)
しかしそうではないとすぐに気付くと、とりあえず倒れないように体制を立て直す。

その時に髪がかかった顔を見て。



うわぁ……

こいつ、すっげぇ可愛い……。



え、何コイツ。
どうしてこいつ今までこんなところうろついて平気だったんだ……?



曲がりなりにもそう思ってしまうくらいには、俺は一目でそいつに惹かれていた。



「……紘、お前全然他の女子になびかねぇと思ったら、実はそうだったのか…………」


突然後ろから聞こえてきた声。



この体制では振り向くことは出来ないが、それでも声だけで判断は出来る。


「た、健……。

コレは違う。
ていうか、医務室どこか教えてくれ……」



リアルに懇願する俺に、健はあっち、と指差して教えてくれた。


その方向を確認して、俺はよっとそいつの体を抱えあげる。



そのとき、健がこいつの顔を覗き込んだ。



「ふーん?

ふんふん、なぁるほどね…」


など、意味深なことをいきなり言い出す。