そして俺らは走り出す


すると、みるみると表情を変えていく。


「おいしーっ!!

ね、紘嵩君、すっごいおいしいよっ!」


あー、すっげぇ幸せそう。

こうした表情を見ているとこっちも幸せになってくる。


「紘嵩君も食べよーよっ!」

その言葉で俺はまだ一口も食べていないクレープを口にした。

「お」

確かに…



これは

「うまいっ」


「でしょっ!?」

さも自分が作ったものを褒めてもらったかのように喜ぶ桜音。


クレープのまだ温かみのある生地に
少し栗の食感が残ったマロンクリームにカスタードクリームが加えられ、なめらかな舌触りになる。

ちょっと甘すぎるかもしれない生クリームもマロンクリームと絶妙にマッチしていて、互いにバランスをとりあい最高の味わいになった。


こんな組み合わせがクレープにあったのか…。



俺は一瞬にしてこの組み合わせの虜となってしまった。