そして俺らは走り出す


「てゆーか、2人ともいつの間に名前で呼ぶようになったの~?」


意地悪そうなからかうような、そんな顔の梨沙。


「あ」


そういえば梨沙の前で普通に呼んじゃってた。

でもまぁ気にするほどのことでもないだろう。



「“あ”って何よ、“あ”って」



気にすることでもない、と判断した俺が間違ってたのか。


不用意に漏れた一言に梨沙はつっかかってくる。



「てか、お前のことだって名前で呼んでるんすけど」


つーか別にいいだろ、どーだって。


やけにつっかかってくる梨沙に、俺はありきたりなツッコミを入れる。


「あ」


今度は向こうが声を漏らす。


ったく……。


俺はその声につけ込むような真似はしないものの、なんだよお前は、ぐらいには思ったりもした。