そして俺らは走り出す

――土曜日


俺は待ち合わせの10分前に約束の場所に着いていた。


ちょっとはぇーかな、とは思ったものの
家にいてもやることはないし、結局来てしまったのだ。


そして今現在。


そこには俺1人である。


まぁ、まだ時間まで5分あるし…待ってるか。

手にしていた腕時計で時間を確認し、近くの壁に寄りかかる。


ふと横を見たら、俺からちょっと離れたところできょろきょろしている桜音を見つけた。


「…桜音!」


そう名前を呼んで、大きく手を振る。

すると、桜音も俺に気がついたようで。


一度手を振るとこっちへ走ってきた。


「紘嵩く――…きゃあっ!?」


「おいっ!?」


なんと。



桜音は俺の5m手前で躓いて転んだのだ。




さすがの俺もコレにはびっくりだ。

俺は膝と手をついてる桜音のもとへ駆け寄る。


「…………。」

「…………。」

「……紘嵩君」


「……はい」


緊張のあまり敬語だった。


「……痛い」


だろーなぁ。

結構派手だったからな…。



「立てるか?」



とりあえず俺はそう言って、手を差し出す。

桜音はそれにそーっと手を伸ばし、それを確認して立ち上がらせる。



「あ…ありがと……。」

「ん」


桜音は今の失態(なのだろうか?)を見られて恥ずかしいのか、ずっと俯いている。


「あ、服砂ついてる」


「えっ!?」


俺の言葉にパッと顔を上げ、え?どこ、どこ?と桜音は自分の服を確認しだす。


桜音は秋っぽい茶色のチェックのワンピに、八分丈スパッツ、ブーツに白のバッグ同色系のキャスケットと言う
なんとも可愛らしく、そして季節にあった格好だった。

ちなみに俺。

黒のTシャツに白と青のチェックのシャツ、ジーンズにショルダーバッグ、スニーカーと言う格好だ。



…まぁセンスが無いのは置いといて。