健が離れたことで、俺の背中を掴んでいた桜音の手が少し緩む。
ちなみに梨沙はお手あらーい、と言って10分ほど前にどっか行ってしまった。
他のメンバーは、俺達が待ちきれずにクレープを食べたらとっとと帰ってしまったという。
よーするに。
「あっゴメン! 服掴んじゃって…」
今は俺と桜音の2人っきり。
とゆーわけだ。
「ん、別にそりゃ構わないけどさ」
あーどう言ったものか。
言葉を選ぼうかと思ったが、他に言葉が出てこなかったので
そのまま言うことにした。
「おまえさぁ、一年以上一緒の体育館で練習した奴に人見知りなんかすんの?」
「…………。」
返事は、無かった。
「…………。」
「…………あは?」
あはって!!
無言の後はあは、かよ!!
「だ、だって…さすがに苦手だとは言えないし……」
あぁ、そんなことか。
「別に男子全員それぐらい知ってるぜ?」
「うん…ってえぇ!?」
おお、初の乗りツッコミ。
とか、感動してる場合じゃなくて。
本当にその事を知らなかったようで、目をぱちくりさせて俺の顔を見てくる。
……あの、
そんなに見られたら、ちょっと恥ずかしかったり。

