目の前の健は明らかにショック受けてるし。
あーあ…。
俺、どうすりゃいいんだ?
「あっ、あの~…」
俺がどうしようか迷っていると、後ろから恐る恐ると声が聞こえる。
「ご、ごめんなさい。
わたし人見知りするし、あの…ひ、人と話すの苦手で」
桜音のその言葉に我に返ったようで、そういえば…と思い出したように1人頷いている。
「あー、わりぃな?
別に柏木(カシワギ)さん驚かせようとしたわけじゃないから」
健のその言葉に、俺は一瞬首を傾げそうになった。
柏木…?
あ。
桜音の苗字だ。
そう思って俺の後ろにいる桜音に目をやると、桜音自身は気にしていないようで、いえ…と小さく呟いていた。
健のその言葉。
それもきっと、俺と同じであのことを思い出したからの言葉だろう。
――バスケ部男子は特に、会話が成立した奴がいない――
「あーそうだ、健。
ちょっとお前お茶買ってきて」
ほい、といってお金を渡す俺に一瞬
はぁ? 何で俺が!?と言いたそうな顔だったが、どうやら俺の言いたいことは伝わったようで。
「わぁったよ、その代わり何でも文句言うなよ」
と言う言葉を残していった。

