「てかさー、お前ら遅すぎ。

もう閉まっちまったぞ?」



その言葉にさすがの俺も唖然とする。

急いで携帯を取り出して表示されたのは、PM6:08という数字。


そして目の前のお店……お店が開かれていた場所には
PM6:00閉店、と書かれている。


マジかよ…


ちらりと視線を隣に移してみると、どうやらショックを隠しきれない様子の桜音がいた。


というか、放心状態になっていた。


「どんまいっ紘!」


「うっせーなー…」


俺的にはちっさく呟いたつもりだったが、健にはばっちり聞こえていたようで。


「紘、なんか黒くね?」

と言われた。


知るか。


そんな健を放って、俺はスッと桜音の前に手を伸ばす。


「おーい?」


……反応なし。


「おーい、桜音?」



「おーとー、聞こえてる?」



「聞こえてないみたいだな……」


徹底的に無視され続ける俺を見て、健が失笑をする。



じゃあ、次は俺が…と言って健は桜音の前に行く。



まぁ、健なら変に手を出すことも無いだろうし…と思い
俺が桜音から気を逸らした瞬間だった。


「ひゃっ!!」


「…………。」

「…………。」


その一瞬で見事なまでに健から距離をとり、俺の後ろに隠れる。


つーか……

「…………。」


俺の後ろに隠れても、身長的に健からは見えてるんだけど。


…あー。

そういやこいつ、確か男嫌いだったよな。


あまりにも普通に話すから、忘れかけてたけど。