二度目ということもあり。
そんな、鞄よりも軽く感じる桜音を運ぶのは容易で。
(いや、マジでその比喩が通るくらい軽い。体積に対する質量というのもあるだろうが)


さほど、周りから注目を浴びることも少なくて済んだ。


俺はベンチにそっと桜音を寝かすと、すぐ傍に自販機が見えたのでそこでお茶でも買ってくることにした。



少しして戻ってみると、桜音はうなされていた。



大丈夫…なのか?


俺は心配になり、買ってきたばかりの冷たいお茶を桜音の顔にくっつけた。


勿論、ただのいたずらではなく俺なりの桜音を起こそうという試みだ。


いや、冗談ではなく。



ちょっとしたら桜音はハッと気が付いたように目を開ける。



「大丈夫か?」


体を起こして俺を見ると、何とか状況が把握できたようで。


「紘…嵩、君?

えっあ、わたし!!」


と、すっげー派手にテレまくっていた。

テレテレだった。


「俺と話していたらいきなりぶっ倒れたんだよ。

んで、俺がここまで運んできた」


あえて、その抱き方は言わないが。


「それで、これ買って戻ってきたらけっこううなされてたもんで、心配になって起こした。

おーけい?」


「お、おーけい……。」


まだちょっぴり恥ずかしそうな桜音に、俺はさっき買ってきたお茶を差し出す。


「ほい。

それ飲んで少しでも気分整えろ」


「あ、ありがとう…」

桜音はそれを少し遠慮がちに受け取ると、そうお礼をいった。


その桜音の顔には、さっきまでのうなされてた表情は無くて。

俺はほっとすると同時にある事を思い出す。