「今回のクレープのことは、確かにちょっと強引だったかもしれません。
でも、わたしは誘ってもらえて嬉しいです。
それに、試合の方は
わたしが自分で望んで出させてもらったんです。
梨沙ちゃんは『無理しなくていい』と、言ってくれました。
それでも、わたしが出たいと思ったから…
出してもらったんです。
むしろ梨沙ちゃんに…わたしは、感謝してるんです」
俺は初め驚きを隠せなかった。
1つは、あの桜音がはっきりと目を見て話したから。
1つは、てっきり桜音は梨沙みたいな性格は苦手だと思ってたから。
そして…なんと言っても
自分から試合に出たいと言った事実が
コイツが…桜音が変わろうとしてることを
物語ってたから。
俺に向かって、凛と話したことからもそれは分かる。
いや、本当の桜音はこっちなのかもしれない。
俺達…俺が桜音を知らなさすぎただけで。
初めからコイツは、何も変わっていなかったのかもしれない。
変わったのは、コイツを見る俺の方で……。

