桜の木の下で





部活終了後。



お兄ちゃんと悠太先輩と早川先輩が残って練習をしていた。



「隼司くんは相変わらず凄いな」



フリースローをしながら、お兄ちゃんが言った。



「バスケは凄いのに、人として狂ってる」



悠太先輩が真顔で言った。



「中村くんひどいっしょ」



早川先輩は苦笑していた。



「でもあれは行き過ぎだった。反省してます」



「女に手出さないんじゃなかったっけ?」



「っ!!」



悠太先輩がボールを壁にドンッと勢いよく投げた。



「ちょ悠太どうしたんだよ急に」



お兄ちゃんが焦って悠太先輩の肩を掴んだ。



「ホントにあの早川なのかって疑ったよ。髪真っ赤になってるし。見損なった」



「………」



せ、先輩言い過ぎだよ…!



早川先輩を見ると、ボールを持ったままずっと無言だった。