…あれ?
あれ?


急いで走って来たのに、
さっきカイと女の人がいたところには、もう人はいなかった。



周りを見渡しても、
それらしき人はいない。



「見失っちゃった…」



あたしは息を整えながら、
ロータリーのベンチに座り込んだ。



…当たり前だよね。
彼女がいて当たり前。
なんたって売れっ子モデルなんだし。



あたしが気づかなかっただけだけど、



“KEITA”と“KAI”はここ最近、人気爆発寸前らしい。



あれだけカッコいいもん。



世の中の女の人が放っておくわけないよね。


さっきみたいな、
綺麗で大人っぽい人の方が、



…カイにはお似合い。



カイの言うようにあたしはガキだよ。


ただのガキ。