…カイだ。



…あれっ?
何も言ってくれない…



あたしの事を見向きもせず、
カイは通り過ぎようとした。



なんだ…



何か喋ってくれると思って
ちょっと期待したのに。



シュン…とあたしが下を向いたその瞬間…



「じゃあな」



と、
ポンッて頭に優しい手の感触。



「………!!」



声も出せずに固まるあたしを残して、カイは玄関を出て行った。



…カイが、
あたしの頭をポンッてしたっ!!



頭のてっぺんから湯気が出そう…


あたしはその場にヘナヘナとしゃがみ込んだ…