「てめー、こりてねーみてーだな」

おそろしくとがった声でアキラはいった。
やつの瞳は、怒りに燃えて狂っている。

「べつにユミはもう、あんたの彼女じゃないんだろ」

いい終わると同時に、顔にグーがとんできた。

「調子にのってんじゃねーぞ、ガキ」

おれは一言一句はっきりいった。

「あんたがゾクだろうが、ユミのもと彼だろうが関係ない。おれはユミが好きなんだ。CD貸そうが、セックスしようがおれの勝手だろ」

目のまえでアキラの表情がぐるぐる変わった。

直(ちょく)な言葉がきいたのだろう。
おどろきになり、かなしみになり、そしてふたたび怒りにもどる。

殺しかねない勢いの、やつの瞳にはうっすら涙がたまっている。