おれとユミの会話には内容なんてまったくなかった。

事務的な報告もあれば、退屈な授業ばかりをする先生たちの悪口をいってみたりするだけだ。

ぼけっと息をするだけで、季節は長い梅雨にはいった。
ユミとすこし仲よくなって三週間がたとうとするが、おれは彼女のケータイ番号を知らなかった。
なんとなく、話していてもそんな雰囲気にならないのだ。

まあ、電話してまで話すことなどおたがいない。
社交辞令のメールだってわずらわしいだけ。
不便はないが、一応現代人のバロメーター。
このへんが彼女にとっての一線なのかもしれない。