だいじの近くにある名前

「これ、アキラからもらった、ペアリング。あたしって、こういうの捨てられないたちなのかな。プリクラとか写真は全部処分したんだけど、これだけはどうしても残っちゃって。めいわくかもしれないけど、代わりにどっかに捨てておいてくれる」

さしだされるままに、内側にイニシャルのはいった銀の指輪をうけとった。

どうしてだろう。
ただの量販のアクセサリーのはずなのに、ふたりだけの愛そのものみたいだ。

おれは幼くならないよう、声をつくった。