だいじの近くにある名前

「ごめんね。こんな話しちゃって。今日はいっぱい甘えちゃった。ありがと」

からっとした声で絶対的な壁をはられる。
彼女の強さは弱さと対になっているんだろうと思った。

ユミはガラステーブルのうえにたたんである、制服のスカートを手にとった。
ポケットをあさって、なにかをとりだす。
ふちが黒く酸化した、きゃしゃな銀の指輪だった。