だいじの近くにある名前

「べつに、松田が悪いわけじゃねーよ。もう、とっくにわかれてるんだし。それにほら、見てみろよ。あとだって残ってねーし、問題ねーよ」

ユミはひざにライナーをおいたまま、おそるおそる顔をあげた。
ほんのちょっと化粧をくずして、おれのまぬけな顔を見る。

「なっ、ぜんぜん問題ねーだろ」

ありがとうといって、ユミはおおきくうなずいた。
傷の消えた左の頬に、ゆっくりゆっくり手をのばす。
女のちいさな手のひらが、おれの肌にやさしくふれた。