「どうした」

おどろいてそういうと、彼女は身体をこちらにあずけた。
左腕にのしかかる、泣いてる女の熱い身体。
おれが硬直してるみたいになっていると、彼女はいった。

「わかんない。なんだか、これ読んでたら、いろいろ思いだしちゃって」

「そっか」

「ごめんね。あたしのせいで、いっぱいめいわくかけちゃってるよね」

そんなことないといって、首をふった。
だって、ほんとにそうなのだ。
ユミのことでめいわくだと思ったことは一度もない。