「どうする。今日は、なにきく」

ユミはうーんとうなって首をかしげた。
悩んだあげく、さらっという。

「泣けるやつ。でも、きいたことがないのがいいな」

いつもどおりの、抽象的な注文だ。

女って、いつでもどこでも泣きたいのかな。

おれはCDの山から、とっておきを一枚抜いた。
これはほとんど必殺技。