傷のこともすっかり忘れた十月なかば、CDの貸し借り作業は義務のように続いていた。
このころになると、ユミはおれの好みを理解していた。

古めかしいUKバンドが好きなこと、ぶつぶつ切れてがなりたてる音楽より、メロディーラインを重視すること、胸をしめつけられる短調よりのコード進行には、彼女も共感してくれた。

もっとも、三日にいっぺん往復してるのだから、いやでも詳しくなるのだろう。
ヤンキーはあれ以来、おれをはってる様子はない。