「もう、もどるつもりはないんだ?」

ユミは涙にやけた声できっぱりという。

「あたしたちがいっしょにいる意味って、もうないから」

男には理解できない理屈。
きっと言葉の見えないところで、深い意味があるのだろう。

無責任かもしれないけれど、やさしい声をつくっていった。

「それで、いいんじゃん。松田が決めたことなら、間違いなんかじゃないと思うし」

ありがとう、ごめんねといって、ユミは通話を切った。
ラモーンズののんきな曲は、いつのまにか終わっていた。
電気を消してベッドに倒れた。
うすく青い天井を見あげて、ユミのことを考えた。

べつにこれは恋じゃない。
瞳をつぶって、そのまま眠った。