「なにこれ、オタクくさーい」

たしかにおれもそう思う。
月夜を見あげてもの思いにふける、ライトブルーの髪の女(瞳はレッド!)。

だが、そんなこと曲の良し悪しには関係ない。
透きとおったヴォーカルのすばらしさを説明したが、どうにもこうにもいいわけくさい。

ふーんといって、ユミはそれをかばんにしまった。

「きいてみなくていいの?」

うんといって、ユミはもってきたペットボトルのお茶をのんだ。

「だって、ちゃんと泣けるんでしょ」

あまり自信はなかったけれど、うなずくことしかできない。
悪いことと思いながら、おれはためしにきいてみる。