「泣ける曲だったら、きかせてもらいたかったのにな」

恋じゃないけど、そんなことをいわれた男の反応なんて、そんなに種類はおおくない。

「泣ける曲がききたいんなら、貸してやろうか」

思いだしたようにユミはいう。

「そういえば、音楽詳しいっていってたよね。たしか、みんなもそういってた」

無趣味な男のたしなみくらいだ。
不自然な笑顔をつくっておれはいった。