一学期最後の数日間であわただしく、綿密な計画(穴だらけ)が立った。
終業式の日、おれはとなりの席のユミにいった。

「八時に江ノ島駅集合だって。くるでしょ」

ユミは考えずにいった。

「ごめん。いけないや、あたし」

おれはなにげにきいてみた。

「なんで、バイトでもあるの?」

ユミは左手で口をおさえて首をふった。
くすり指にはよく磨かれた銀の指輪。
口ごもるようにいった。

「こわいんだ、彼氏」

それをきいて、おれはなにもいえなくなった。

なんとなく気もちがすっきりしないまま、その日の夜はすこし遅れてのみ会に参加した。
鵠沼海岸で朝までのんで、明け方バイクで帰って眠った。

変な気もちの夏休み。