「やなぎ。相変わらず騒がしいね」
綺麗な目が細目られて彼女が笑う。
本当はにやりなんだけど、そこは惚れた男の幻想。

「失礼な!明るいと言ってくれ。つーかお前まだそれ飲んでんの?」
「ぬるくなると美味しくなくなるんだけどね~」
ほほう。新しい情報ゲット。

「じゃあ早く飲みゃあいいのに。変な奴」
「急いで飲むとさらに美味しくないんだよ」
「飲み物ひとつにそんなにこだわるんかい」
あははっていうより、ははって笑って佐伯さんの頭をぽんぽんって叩いた。
触んな変態!爽やかなつらが余計に腹立つ。
「こだわったっていいじゃない。それよりCD借りに来たんじゃないの?」
「あ、そうだった!」
彼女の呆れた顔も可愛い。
「まりちゃんの好きなやつでしょ?」
「そうそう。聞きたいって言うからさ」
「はい。あんまり待たしちゃ駄目だよ~」
セカンドバックから流行り洋楽CDを出しながら言う。
いちご牛乳はゆっくり飲む派でつぶつぶは不可。洋楽も好き。
覚えておこうっと。
好きな子のことはなんでも知りたいもんだ。
「ん。ありがとな。青もまたなぁ」
「おぅ。彼女によろしくね~。知り合いじゃないけど~」
爽やかに対抗して、にこりと笑って言ってみる。