「なぁんか、ひっかかるんだよ」
ついでに首も鳴らしてみる。ぱきぱき音がした。

「へ?」
智紀は相変わらずまぬけ面だ。

「どんな小さなことだってきっかけがあるはずなんだよ。絶対」
何もないはずないんだ。

「話してる内に、とか。友達だと思っててもちょってしたきっかけで意識しちゃったり。声かけてもらってときめいちゃったとか。何気なく声かけちゃったらとか」
理由が欲しいわけじゃない。だから余計気になる。

「ときめいたは止めてくれ」
顔をひきつりつつ聞いている智紀。人が真剣に話してるっていうのに。

「じゃあどきどき」

「変わんないって。つーか、青が気付いてないだけかもしれないし。知らない内にときめいてたのかもよ」

「智紀、気持ち悪い表現はやめてくれ」
ただでさえ寒いっていうのに。

「お前な」