前に走る男の子の名前は、松崎タクヤ。 そして、あとを必死に追いかけるのがあたし、本原マヤ タクヤの小さな手には、銀の箱が大切そうに抱えられていた。 「タクヤ、早いよ〜。」 5歳のあたしたちには、少しの坂も夏になれば地獄のようだった。