後ろから名前を呼ばれてあたしは振り返った。
「おばさん……」
目の下に墨を塗りつぶしたようなくまをつけたタクヤのお母さん。
あたしにタクヤの死を知らせた人物だ。
「タクヤはマヤちゃんに会えてとても幸せだったはずよ。だからきっとタクヤは自分のためにマヤちゃんが泣いてくれて天国で喜んでいると思うの。
仲良くしてくれてありがとうね。」
「タクヤは……タクヤはあたしに会いたいって言ってその途中で事故にあったんです。
あたしが……止めていれば……タクヤは……っ、事故にあわずにすんだかも知れないのに……っ」
止めどなくあふれる涙をあばさんは優しくぬぐってくれた。
タクヤにそっくりのおばさんの茶色い瞳。
その目には顔をぐちゃぐちゃにさせたあたしが映っていた。
「マヤちゃんは何にも悪くないわ、偶然そうなっただけ。だからだれも悪くないのよ。」
「でもっ「自分を責めないで。マヤちゃんには強く生きてもらいたいの。それはタクヤも思っているはずよ。だから、ね?前を向いて、タクヤの分まで強く生きて」
最後は涙ぐみながらおばさんはあたしに伝えてくれた。
「はい………。」


