"室井翔にメアド教えてもいい?"

初夏の風が吹き付ける中
理解に苦しむ言葉を私に
投げ掛けてきたのは
親友である牧田姫である。

姫とは中学からの仲で
家も近いだけに長く
付き合っている。

おまけに高校やクラブ
までも同じで今じゃ
クラスも同じである。

まさに腐れ縁だ。


"っえ?"

姫の言葉が
なかなか理解出来ない私がやっと発した言葉を
彼女はいとも簡単に
流しながらセカすように
同じ言葉をリピートした。

"だーかーらーっ
室井先輩に美紗のメアド
教えていいかって聞いてんの!"


語尾を強くしたことから
姫がキレていることがわかる。