その次の日から雨が続いた。「こう雨の日が続くと憂鬱ね。」私は自宅の衣類が洗濯機に回される音を聞きながら窓の外を見て呟いた。外は昼間なのにも関わらず雲り空で少し暗かった。その後、コインランドリーに行った。帰りは、外はもう暗くて雨も降り止んでいなかった。私は傘を忘れて傘もささずに歩いていたら…誰かに呼び止められて振り返るとこの前の男の子がいて、「傘、良かったらどうぞ。」と傘を貸してくれた。私が
「あなたが雨に濡れるから…」と言うと…雨が滴る良い男は僕の事だと笑った。何気なく名前を聞くと名前は「時雨」と彼は言った。彼の本当の名前は今でも私は知らないけど、時雨という名前はきっと雨の日に出会ったからなのだろうと思った。彼は私の名前を聞かなかったし、教えなかったけどいつも私の事を勝手にrainと呼んだ。私と彼はよくその公園に行った。私はその公園の柵みたいな壁にピンクのペンキでハートを描いては桃だとよく嘘をついた。私と時雨はその柵みたいな壁を間にして背中合わせにしてよく会話をした。彼は今よりずっと若い頃から叶いそうもないけど叶えたい事が有ると言った。私が聞いたら彼はどうでも良い事なんだよと悲しそうに笑った。