だけどそれが歓迎ではないのを、俺は知っている。




「家庭の事情?」

「俺も深くは知らね。親友って言ったって、家庭の事情に首突っ込むことなんて出来ねぇし」








実際、陽太が参堂を辞めたのは家庭の事情なんかではない。


でもそれは今俺から言ったって、コイツ等一年が陽太と仲間になれるはずがないと思っているから。







早く陽太も加えて、野球部となってほしいから。


それくらい、過去を腹割って話せる仲間になってほしいから。




あえて言わないでおく。



「……大丈夫かな、南」








いつもより凄く小さな声で、河井が呟いた。




「大丈夫って?」

「んー、成海が最近辞めたばっかなんですよ? そんなすぐ初対面の人に対応出来んのかなー、って」








河井の言っていることは限りなく正解に近い。


今南がまだ部室に来ていないから言える心配は、河井の優しさが滲み出ている。






「……対応よりさ、あの髪色とピアスどう見ても不良じゃん? いくら南でも手に負えねーよ」

「成海でも苦労してたのにな」










──大体本当にあんなんで参堂入れたのかよ。




それは歓迎ではなくて。






むしろ嫌悪に近い様子。