成海がやめた理由は、俺と監督と部長以外、誰も知らず。




まだ状況を飲み込めていない部員たちを、俺は遠巻きに見ていた。










平塚先輩が休憩をとっている時間は、マシンがマウンドを陣取っている。




今まで立っていた成海は、姿を消して。




まるで空が、太陽を無くしたかのように。








部長と平塚先輩が引退したら……、と考えると
この野球部にいい方向性は見つからない。








あの日成海を手放してしまったけれど。




あの日、成海を応援してしまったけれど。








だけど、




やっぱりちょっとだけ苦しい。