私は、救急車の中で意識を失った。
私が、目をさめた時には、一樹とおばあちゃんとおじいちゃんだった。
おばあちゃんは、私の手を握っていてくれた。
その手を、私は握り返した。
「優?」
私は、その声に反応してゆっくり目を開けた。
「大丈夫かい?」
「大丈夫だよ」
そう言いながら、一樹のいる方に目線を落とした。
「一樹、元気?」
一樹は、何も言ってくれなかった。
「どうしたの?」
「優、落ち着いて聞いてくれ。」
おじいちゃんが、急に言って驚いた。
「わかったかい?」
私は何も言わずに、うなずいた。
「一樹は、ショックで声が出なくなっているんだ。」
「っえ?」
「一樹、おいで」
一樹は、えんぴつと紙を持って、私のひざの所に来た。
「一樹、ごめぇんねぇ」
「守って、あげれなくてごめんね」
そういいながら私は、一樹を抱きしめながら泣いていた。
そしたら一樹も、申し訳なそうに泣き始めた。
一樹が私の、服を引っ張っていた。
「一樹、どうしたの?」
そう言ったら、一樹が持っていた紙に何かを書き始めた。
『ぼくのせいで、ごめんなさい。
 かずきが、でんわしたから』
「一樹のおかげで私は、生きていられるんだよ。」
「ありがとぅ、一樹」
そう言って、一樹と私は微笑んだ。
微笑んだつもりだったのに、涙が出てきた。
そしたら一樹が、私の手を握ってくれた。
そうして、私と一樹とおばあちゃんとおじいちゃんでの4人の生活が始まったんだ。