忘れられない人

「なんか普通に話してたじゃない?咲妃、脈なくなかったんじゃないの~?」

エリにそう言われるが、

「まさかぁ、違うよ・・・。きっと向こうも気にして、話してくれてるんじゃないかな。」

凌が正直、どう思っているか謎だが、決して脈ありな感じではなかった。

でも、凌が来るなら来ると、湊から事前に一言教えてもらいたかったな。

「悪い。湊も他の奴らも、ちょっと遅れるって。」

携帯で連絡を取り終えた凌が戻ってきた。

「どうする?あと30分くらいらしいんだけど。」

「じゃあ、お茶しない?ちょうど目の前にスタバがあるし。」

友美がそう言い、

「えっと、藤咲さんは、大丈夫ですか?それで。」

と、凌に聞いた。

「ん?それでいいよ。」

そして5人でスタバに入ったのだが、女の子4人の中に、ポツンと1人男の凌がいる光景がなんだか奇妙だった。

男1人で居心地が悪いはずなのに、

黙って一緒にいてくれる・・・。

そんな凌のやさしさに、私はまた惹かれるものがあった。