忘れられない人

「あれ、やっぱりまだ誰も来てない?湊もまだなのか。」

凌は普通に私に話しかけてくる。

「まだですねぇ。もう約束の時間なんですけどね。」

「だよな。ちょっと待ってて。湊に連絡してみるわ。」

そう言って、携帯片手に少し離れたところに行く凌を目で追いつつ、私は緊張のあまりにとても早く脈打つ心臓に手を当てた。

はぁぁ~。

ほんとにほんとに、驚いた。

こんな形でまた会うなんて、思ってもみなかった。

「へぇー。彼がヒットくんかぁ。」

千春はにやにや笑いながら、携帯で話す凌にチラチラ視線を送る。

「女の人みたいだね、すごい細いし。私、あんなに細いのダメだなぁ・・・。」

男らしい顔つきで、マッチョが好きな千春は、凌の中性的な顔立ちもガリガリ体型もだめなようだ。

うちら4人はうまいこと好みが違うので、合コンに行ってもタイプがだぶらない。

だからケンカも取り合いもなく、うまくやっていけるのだが(笑)。