忘れられない人

「ほら、部活話は中野さんがわかんないから入れないぞ。羽田、何か違う話ふれっ。」

凌は自分から、気が利かないと言っていたけど、

こうやって話に入れずにいた私に気付いてくれる。

まぁ、話には入れないけど、二人の昔の話が聞けて、私は私でなかなか楽しんでたんだけどね。

ふと時計を見ると、すでに22時をまわっていた。

本気で佐田さん、来ないのかなぁ。

「おせぇな、湊のやつ。トイレ行きがてら、連絡してみるから、待っててよ。」

凌が席を立つと、見計らったようにみちるが、

「どうよ?連絡先、交換できた?」

「いや、まだ・・・。」

「もーう!せっかく二人にしてあげたのに・・・。」

「後で聞くって!はぁぁ・・・やっぱり、ちょータイプ。めっちゃかっこいい。」

「でしょー!藤咲先輩、それはそれはモテたんだから。」

みちるは意味ありげに笑うと、

「早くしないと、とられちゃうぞ〜。」