忘れられない人

黙っている私を見て、不審に思ったのか、

「・・・もう、バイク飽きちゃった・・・とか?」

「いや、それは違う!!」

凌の悲しげな声に、私は慌てて言い返した。

それが思ったよりも、あまりに大きな声だったので、言った自分でもびっくりしてしまった。

前を歩いていたカップルも、何事かとこちらを振り向く。

小さく『すみません・・・』と謝りながらも、

凌に与えてしまった誤解を解きたかった。

決してバイクに飽きたわけではない。

ただ・・・。

ただ、怖いのだ。

バイクにまたがった時点で、またいつ転ぶかもしれないという恐怖感が襲ってくるのだ。