忘れられない人

すると凌の手が伸びてきて、私の手を引っ張り、道路の端っこへと抜け出してくれる。

私は思わず、みちるの方を見たが、みちると湊は軽くウィンクをして、

そのまま先に進んでいってしまった。

もちろん、凌はそれに気づくはずもなく、

「ほら、バンソーコ貸してみ?」

と、バンソーコを取ると、私の足元にかがんで貼ってくれる。

ドキドキドキ・・・。

私の鼓動は凌には聞こえていないんだろうか。

ちょっとした凌のやさしさに、いつもドキドキしてしまう。

「少しはマシになった?けっこう皮、むけてたぞ。」

でも凌にとっては、何のこともないのか、出てくる言葉に色気はない。

ははっ、そんなもんだよね。

反面がっかりしながら、『ありがとう。』と礼を言った。