「どちらまでだい?」







タクシーの運転手に聞かれ、




「今日って神社で祭り、やってますよね。そこまでお願いします」




と答える。





「あぁ、分かりました」



運転手は頷くと、神社のある方向に向かってタクシーを走らせた。








「君、モデルみたいな顔立ちだねぇ。今で言う、ほら、えーっと、イケメンズって言う のかな?」



タクシーの運転手は鏡で俺の顔を見ると、笑顔で言った。






―イケメンズ?





聞いたことねぇな。





運転手のおじさんは五十代半ばといっていいだろうか。


カッカッと笑いながら運転している。








「お2さん、今で言う“カレカノ”かい?」



おじさんは“今で言う”が口癖らしい。









「ばっ・・・違います」




『ばか』と言いそうになり、慌てて訂正した。



涼も隣でコクコクと頷いている。






「そうなのかい?お似合いだよ」と笑いながら言った。