屋上に続く階段を上る。











ドアを開けるとムワッとした風が、俺の全身を包み込む。







「・・・屋上暑っ!」








俺は陸の姿を見つけ、駆け寄ろうとした。









陸は、1人じゃなく由希と一緒で。








陸は由希と何かを話している。










あんな陸の笑顔を見るのは初めてだ。








そんな陸の姿を、とても邪魔しにくくて、俺は屋上を離れた。







―陸は、由希が好きなのか。









俺は今日、初めて気付いた。










やっぱり、好きな人の前だと、あんな風に笑っているのだろうか?






あんなに、嬉しそうにしているのだろうか?





―俺はくすりと笑う。














俺の頭には、柚の笑顔が浮かんでいた。




―柚の隣で笑って、



―2人で遅刻して、みんなに笑われ、



―授業中の柚との回し手紙。







柚と会ってから日は浅いけど、俺の頭に浮かぶのは、いつも“君の笑顔”。















「俺、柚のこと好きなんやろうなぁ・・・・」











急に柚の笑顔が見たくなった。














俺は、柚の姿を探す。









見つけたら、この言葉を真っ先に伝えよう。














“柚が、好きや”









・・・・・ってね。          -END-