―プルルルルッ

―プルルルルッ




―プルルルル・・・・



―3回目のコール。






『もしもし?どちら様ですか?』



「早川です。由希いますか?」




『あら!弾くん!?肺炎って聞いたけど大丈夫なの!?』



由希のお母さんが心配そうに聞いてきた。





「あー全然大丈夫ですよ。元気だし」




『そう、よかった!由希ね、ちょっと待ってて』







『由希~?!』




おばさんは由希を大声で呼んでいる。





『もーなんなの~?』



由希の声が近くなる。






「もしもし由希?」




俺は由希に問いかけた。






『も、しもし・・・・・・』




由希の強張った声が聞こえる。





「おう、あのさ、この前の・・・」
「あ、あれ?!あれね、無かった事にして!なんか勢いで言っちゃったっていう    か!?」

由希は俺の言葉にわざと重なるように言った。


「ちゃんと答える」



俺のその一言で、由希は黙り込んだ。





「・・・俺、由希がそんなこと思ってるなんて思わなかったから、嬉しいのか、なんな のかよく分かんねぇ・・・でも、悪りぃ、好きなやつ、いるんだ」








―俺の答えは決まっていた。





俺が好きなのは“涼”だけなんだよ。




『そ・・・・か。うん、でも、云えただけよかったよかった!・・・・ちゃんと答えて くれて嬉しかった。ありがとね。あ!!でもお祭りはこないと駄目だからね!』



その時の由希の声は、笑っているのか、泣いているのか分からないような声だったけど。





2人とも一緒に安心できたんだ思う。









「了解しました」



俺は受話器に小さく笑いかけ、受話器を置いた。