ソプラノ

ふいに引っ張られた制服の袖。









俺は後ろを振り返る。










制服の袖を引っ張ったのは、さっきぶつかった1年生の女子だった。









「あ、さっきの!そや、ハンカチ落としてたで?」







俺はポケットからハンカチを取り出すと、彼女に手渡した。







「わぁ、ありがとうございます!さっき気付いたら無くて、もしかしたら先輩が拾ってくれてるかもって思って探してたんです!」




彼女は柔らかく微笑む。








―あ、何かに似てる。








俺はその時そう思った。









「おーい・・・ってあれ?1年生!ナンパしてんじゃねーぞぉ?」




陸が手すりから前のめりながら言う。








「違うわ!」




俺は「じゃあ」と彼女から離れようとした。